”認知症は、周囲との関係で作られることもある”と考えたことはありますか?
私は、医療の現場で、認知症の方に、誰がどのように話しかけるかによって、
すぐに症状が消えたり、全く違った反応を示す認知症の方を大勢見てきました。
そのおかげで、”認知症はただ演じているだけ”という常識とは異なる定義が、私の中の常識になっています。
その前提で、認知症の方と関わることで、私の前でだけ認知症をやめる人がたくさんいます。
これは本当に不思議です。
私がすごいといいたい訳ではなく、
接する側がどう接するのか、
どのような思いや意識で接するのか、
どのような声かけをするのかによって、
認知症の症状を演じることをやめたりすることも頻繁にあるといいたいのです。
『認知症の心の裏にある背景とは』
例えば、認知症の症状がある方で、夫を亡くして寂しがっている状態で、
「寂しいから、私にもっと構ってほしい!」という心の叫び(無意識の願い)を表面化して、
認知症の症状を続けているケースも多いです。
「うちのおばあちゃんは、子供に甘えるようなことはしないから違う」と思った方もいるかもしれませんが、
ここでいう”心の叫び”とは、自分でも気づいていない心の奥(潜在意識)がそう表現したりするので、認知症の症状のある本人が気づかないまま、寂しい気持ちを何とかしたくて認知症の症状を演じることを続けていたりします。
また、家族に対して、泣き続けたり、怒り続ける人もいます。
そして、家族の中でも特にその人の前だけそういう症状を強く表現することもあります。
それは、その家族に対して「構ってほしい」と強く願っていたり、その家族に対して自立してほしいために「家からでていってほしい」と親心のように願っていたりする場合もあります。
私のカウンセリングでは、その認知的な症状の背景にある”原因”に介入するから、認知症の症状がガラっと変化したりします。
また、認知症には「あの時からだよね〜」と明らかなきっかけがあって、症状が突然でてくるケースもあれば、
認知症のきっかけになった明らかな原因はないけど、少しずつ強くなっていくこともあります。
どちらも適切な対応によって症状をやめさせる可能性は十分にありますが、前者のほうが簡単に変化しやすいことは経験的にわかっています。
『セッションする時の重要なポイント』
ここで重要なポイントがあります。
私のセッションでは、認知症であってもそれ以外の目標達成するためのコーチングセッションにおいても、本人が変化を望んでなければ、それ以上は介入しません。
そもそも私は認知症が病気だとも、悪いものだとも、決めつけてはおらず、本人に「認知症ではなく別の表現もできますよ」と丁寧にお伝えして、
認知症の症状をやめたいのか、それともやめたくないのか、の決定権は常に私ではなく、本人にあると考えているからです。
人生の全ての決定権はその本人にあるという当たり前の大前提を尊重しながら、
今後も認知症の方や認知症を予防したいと恐れている方、またはその他の悩みを抱えている方々の心に私のできる形で寄り添っていきたいと思う。